Apollo 13: ミッションの全貌をリアルタイム3Dで
1970年4月15日
1970年4月15日の Apollo 13 ミッション:宇宙船が地球から月へ、そして戻るまでの実際の軌道を、リアルタイムの3D再現で体験しよう。
1970年4月11日、ケネディ宇宙センター。
アポロ13号は3度目の月面着陸へ。目指すはフラ・マウロ高地です。
乗員はジム・ラヴェル、ジャック・スワイガート、フレッド・ヘイズ。ラヴェルは4度目の飛行。
スワイガートは、出発3日前に風疹にさらされたケン・マッティングリーの代役です。
司令船の名はオデッセイ。月着陸船(LM)の名はアクエリアスです。
目標は、雨の海をえぐった巨大衝突で飛び散った岩石です。
リフトオフ。5基のF-1エンジンが3,400トンの力で押し上げます。
第1段は2分半で、ケロシンと酸素2,100トンを燃やし尽くします。
船長のラヴェルは、LMパイロットのヘイズとともにLMを月面に降ろす予定です。
司令船パイロットのスワイガートは、月周回軌道で一人待つ予定です。
第1段を切り離し。第2段の5基のJ-2エンジンが点火します。
5分30秒、第2段の中央エンジンが「ポゴ」と呼ばれる激しい振動に陥ります。
推力と燃料の供給が、毎秒16回、互いを増幅し合います。
センサーが圧力の急落を検知し、エンジンを停止。予定より2分早い停止です。
ロケットのコンピューターが補正。残る4基が34秒長く燃焼します。
停止したエンジンの燃料はタンクに残り、残る4基がそれを使います。
第3段も予備の推進剤を使い、9秒長く燃焼します。
予定より44秒遅れて、高度185キロの軌道に入ります。
地球を1周半するあいだに、月へ向かう前の宇宙船を点検します。
第3段が6分間再点火。時速28,000キロから39,000キロへ。
自由帰還軌道へ。何もしなくても、宇宙船は月を回って戻ってくるはずです。
スワイガートが司令船と機械船を第3段から切り離し、向きを反転させます。
そして、第3段の頂部に収められたLMとドッキングします。
宇宙船がLMを格納部から引き出します。空の第3段は離れていきます。
第3段は月に衝突させられます。アポロ12号の地震計のための、初の試みです。
宇宙船は1時間に3回転し、太陽の熱を全体に分散させます。
飛行30時間40分、メインエンジンが3.5秒間噴射します。
宇宙船は自由帰還軌道を離れ、着陸地点をより正確に狙います。
再度の修正がなければ、この軌道ではもう乗員は帰れません。
ヘイズがLMへ移り、テレビカメラの前で船内を点検します。
飛行55時間。乗員は生中継を終えますが、どの局も放送していません。
2基の酸素タンクが、電気と水をつくる燃料電池に酸素を送ります。
ヒューストンがスワイガートに、タンクの攪拌を頼みます。いつもの作業です。
中のファンで酸素をかき混ぜ、計器の値を正しく保つのです。
鈍い爆音。宇宙船が揺れ、警報が鳴り響きます。
ラヴェルは最初、ヘイズのいたずらだと思います。よくバルブを鳴らすのです。
スワイガート「ヒューストン、こちらで問題が発生した」
ラヴェルが補足します。2系統ある電気回路のひとつ、Bバスの電圧低下です。
計器はでたらめな値を示します。地上はまずセンサーの故障を疑います。
飛行主任ジーン・クランツ「問題を解決しよう。推測で悪化させるな」
3基の燃料電池のうち、2基が停止しています。
宇宙船が勝手に動きます。姿勢を保とうとスラスターが噴射します。
ラヴェルが窓から「何かを宇宙に噴き出している」
それは酸素です。2号タンクは空、1号タンクも漏れています。
何が爆発したのか、なぜなのか、まだ誰にも分かりません。
その噴出は、止められないスラスターのように宇宙船を押します。
ラヴェルが手動で操縦しますが、一部のスラスターはもう反応しません。
ジンバルロックは禁物です。陥れば宇宙船は姿勢の基準を失います。
最後のタンクの圧力が、刻一刻と目に見えて下がっていきます。
ヒューストンは漏れを止めようと、燃料電池2基の閉鎖を指示します。
閉じた電池は二度と開けられません。これで月面着陸は不可能になります。
漏れは止まりません。月は失われ、今や生き延びることが課題です。
地上には2つの選択肢。すぐに引き返すか、月を回り込むかです。
引き返すには、損傷したかもしれないメインエンジンを使い、LMを捨てねばなりません。
ヒューストンは、LMを救命ボートにして月を回り込む道を選びます。
司令船は旅の最後に備え、突入用のバッテリーと酸素を切り離して温存します。
ラヴェルとヘイズは、司令船の電源が落ちる前に、急いでLMを起動します。
ラヴェルは司令船の慣性基準の向きを、手作業でLMへ写します。
58時間40分、司令船の電源が落ちます。3人はLMに身を寄せます。
マイクが入っているとは知らずに、ラヴェルが言います。
「これで月飛行は、当分なくなるだろうな」
宇宙服を着ないまま、トンネルを漂って2つのモジュールを行き来します。
LMを救命ボートにする案は、飛行前に机上で検討されていました。
アポロ9号では、LMのエンジンでドッキングした宇宙船を押した実績があります。
しかし司令船を4日間止め、再起動することは誰も想定していません。
残りは地上で1時間ごとに考え出され、乗員に読み上げられます。
LMは2人で2日間用。それを3人で4日間使わねばなりません。
地上は酸素、水、電力をすべて数え直します。最初に尽きるのは水です。
水は電子機器の冷却にも使います。1人1日200ミリリットルに制限します。
LMは最低限で稼働。無線、換気、誘導コンピューター、それだけです。
計画はこうです。月を回り込み、LMの降下エンジンで帰還します。
爆発のそばのメインエンジンは信用できません。LMが宇宙船全体を押します。
61時間29分、LMの降下エンジンが34秒間噴射します。
宇宙船は自由帰還軌道に戻ります。何もしなくても地球へ帰ってきます。
ソ連は回収支援のため、自国の艦船の提供を申し出ます。
司令船は電源が落ち、暖めるものはありません。熱は宇宙へ逃げていきます。
船内は3℃。電子機器が熱を出すLMも、わずかに暖かいだけです。
湿気があらゆる所で結露し、壁も計器盤も水が滴ります。
寒さをしのぐため、ラヴェルとヘイズは月面歩行用のブーツを履きます。
スワイガートにはブーツがありません。濡れて凍えた足のまま帰路を過ごします。
月の裏側では、25分間無線が一切つながりません。
月の裏側の上空254キロ。地球からの距離は400,171キロです。
人類がこれほど遠くまで来たことはありません。
ヘイズとスワイガートは初めて見る裏側を、休みなく撮影し続けます。
アポロ8号で見たラヴェル「帰れなければ、その写真は現像できないぞ」
第3段が時速9,000キロで月に衝突。アポロ12号の地震計から140キロの地点です。
衝撃はTNT火薬11トン分。月は3時間以上揺れ続けます。
最接近の2時間後、LMのエンジンが4分24秒噴射。これが「PC+2」です。
周りの破片で星が見えません。姿勢の確認には太陽を使います。
着水は9時間早まり、場所もインド洋から太平洋に変わります。
寒さとポンプの音の中、誰も数時間以上は眠れません。
ヒューストンは尿の船外投棄を禁じます。そのたびに軌道がずれるからです。
呼吸のたびに二酸化炭素が出ます。濃度が高まれば有毒です。
除去のため、空気は水酸化リチウムのカートリッジを通り、吸収されます。
2人2日用のLMのカートリッジは飽和しつつあり、濃度が上がっていきます。
司令船に予備はありますが、四角いのでLMには入りません。
LMの差し込み口は丸型。2つの宇宙船、2つのメーカー、2つの形です。
地上のチームが、マニュアルの表紙や袋、ダクトテープで変換器を作ります。
ヒューストンが組み立てを一つずつ読み上げます。二酸化炭素は下がり始めます。
飛行105時間、LMのエンジンが浅すぎる突入角を修正します。
コンピューターは停止中。地球の昼夜の境界線を目印に、手動で姿勢を合わせます。
脱水状態のヘイズは尿路感染症にかかり、熱で震えています。
地上ではケン・マッティングリーと技術者たちが、司令船の再起動手順を書いています。
手順は、突入用バッテリーのわずかな残量に収めなければなりません。
LMは2つのモジュールをつなぐケーブルで、司令船のバッテリーを充電します。
突入の5時間前、LMのスラスターで最後の軌道修正を行います。
機械船を切り離します。乗員は初めて、その損傷を目にします。
ラヴェル「片側がまるごとないぞ!」パネルが根元からエンジンまで吹き飛んでいます。
ヘイズは調査のため、むき出しの区画を撮影します。
司令船がバッテリーで再起動されます。結露した水が配線を伝って流れます。
回路は持ちこたえます。
LMを分離。ヒューストン「さようなら、アクエリアス。ありがとう」
LMは南太平洋の上空で、大気圏に突入して燃え尽きることになります。
カプセルは時速40,000キロ、6度強の角度で大気圏に突入します。
交信途絶は予想より長い6分間。やがてスワイガートが応答します。「OK、ジョー」
直径25メートルのパラシュート3つが、カプセルを時速35キロまで減速させます。
4月17日、サモア南東に着水。ヘリ空母イオー・ジマから6キロの地点です。
3人の体重は、合わせて14キロ減っています。
調査は1968年にさかのぼります。2号タンクは工場で5センチ落とされ、管が傷んでいました。
1970年、地上でタンクを空にするため、65ボルトで8時間加熱します。
28ボルト用のサーモスタットが溶着し、電線の絶縁材が焼けます。
飛行中、攪拌でファンが回り、むき出しの電線が火花を散らします。
純酸素の中で絶縁材が発火。圧力が上がり、タンクが破裂します。
LMのプルトニウム燃料は、トンガ海溝の底に眠っています。
アポロ13号の距離記録は、アルテミスIIまで56年間破られません。
アポロ14号に向け、酸素タンクは内部のファンをなくして再設計されます。
中に残る電線は、ステンレス鋼で覆われます。
3基目のタンクが追加され、機械船の別の区画に隔離されます。
機械船には予備バッテリーが、司令船には水の備えが加わります。
10か月後、アポロ14号がフラ・マウロに着陸します。
NASAは「成功した失敗」と呼びます。目標は未達、でも3人は生きています。